認識の相違

今回下された判決は審理の移送申立を却下した理由から、十分想定できたものなのですが、

  • 出品者の評価を直接的にするものではなく、サイト自体の評価を把握するために運用されているものと認められる
  • 出品者に対しては、購入者の評価が直接把握出来る状態にある
  • 被告が誤解を前提に評価したとしても、原告を名指しで公に名誉毀損したものではない


認識に誤りがあるのでは?と思えるような解釈によって判決が下されたことが残念でなりません。


まず1点目ですが、出品者に対する評価は、出品者に対する直接的な評価ではなくサイト自体(アマゾン)に対する評価だと認定している点です。こんな捉え方をされるとはさすがに想定していませんでした。

果たしてそういう考え方に基づいて評価を記入している購入者がどれだけいるのでしょうか。確かに勘違いの甚だしい購入者が「アマゾンに送料を余計に取られた」とか「運送屋が玄関先に商品を放置していった」という出品者にはどうすることもできない事実をもって悪評価を付ける人もいます。このような評価は明らかにサイト自体(アマゾン)や運送屋に対する評価と言えますが、本質的にマケプレヤフオクの評価システムというのはサイト運営者に対するものではないはずで、その点について過った認識を持っている裁判官に審理されてしまったことが残念に思います。


次に2点目ですが、裁判官の判断は、出品者に対する評価は出品者と購入者のみが閲覧できるという前提があるように思います。私が証拠として提出した甲8号証とは購入者の実名が表示されている出品者用の評価ページです。購入者が見るページではなく、なぜ実名表示のページのコピーを証拠として提出したかについては、その評価を書き込んだのは間違いなく被告であることを証明するためのことであって、実名非表示ページを証拠として提出しても、それで被告を特定することが可能なら、実名非表示ページを提出していたはずです。

これは私の推測ですが、判決を下すに当たって、裁判官は実際に評価ページへアクセスして確認していないのではないかと思います。判断の根拠が「評価は購入者から出品者に対する私信である」という認識を持っているとしか思えないふしがあります。


そして3点目ですが、2点目の誤認識の延長線上に下された判断だと思います。たとえ酷い書かれ方をされて、評価数値が下がってしまったとしても、公に知られることはないだろう、という認識が窺える気がします。

さらに言うなら、本名を晒された上で悪評価を書き込まれたわけではないんだから、気にすることじゃないだろう、と言っているように思えます。

ヤフオクの場合は、社名や屋号というよりアカウント名という性格が濃く出ていますが(英数字しか使えないため)、マケプレの場合は社名や屋号を用いている人が数多くいます。私の場合も税務署や警察(古物商取得時)に屋号を届け出ていて、その屋号マケプレに出品しているのですが、屋号に対する悪評はいくら行っても構わないということなのでしょうか。

私の記憶とその解釈に間違いがなければ民法上で人権を認められているのは自然人と法人ですが、屋号というのは自然人が商売上で使う名称であって、その名称も場合によっては名誉毀損をされる対象になりうると思うのですが、今回の判決では「(ニックネームに対する書き込みは)名指しされているとは言えない」と判決文中にて認定しています。


冗長なだけでポイントのはっきりしない書き方になってしまったかもしれませんが、基本的に判決についてはある程度納得できる面があります。ただ判決を下すまでの過程の解釈には全く納得できずにいます。

購入者の評価というのは

  • 「アマゾンに対するものだろう」
  • 「個人間の私信のようなものだろう」
  • 「本名が出ていないんだから別に良いだろう」

このように認定している点は全く納得できません。相手方には申し訳ないような気もしますが(時間を掛けて出廷していただいた点などは感謝しています)、判決理由に不服があるので、真剣に控訴することを検討しています。

ちなみに控訴した場合、同じ庁舎内の簡裁から地裁へ管轄が移ることになるそうです。