さらに熟読してみる

判決理由では、今回の問題となった本を出品することに問題はないとし(理由4)、出品者として商品情報の提供やクレームに対する対応に問題はなく、購入者がしっかり確認を取らずに注文をした上で、高揚した調子になって、電話をしたことが認められているにも関わらず(理由5)、アマゾンでの評価ページには公然性がないから名誉毀損はされていない(理由6)という結論に至るのはやはり納得がいかないですね。

少なくとも主文を読まずに判決理由だけを読み進めていけば、理由5のあたりまでは私の主張が認められているものだと錯覚に陥ってしまいます。

今回の裁判官はマケプレ闇市場のようなものだと思っているのでしょうか。日本で最大の書店サイトとして圧倒的な集客力を誇るアマゾンサイトに公然性がないと判断されたことについてはとても愕然としました。

私の主張としては、多くの人が訪れ、注目度の高いアマゾンサイトは十分に公然性があり、また誰でも出品者に対して寄せられた評価文や評価数値を閲覧できる状態である以上、今回の判決理由にあった私信的評価というのも的外れだと思います。

(裁判官としては当然の能力なのかもしれませんが)審理当日はアマゾンの規約に照らし合わせながらの発言が多く、この手の文章を素早く熟知する能力に長けているなぁと思ったのですが、その規約の存在根拠(アマゾン)については全く認識不足のようで、スポーツで言うならルールを知らないルールは知っているけど、競技そのものについては全く知らないという人に審判を任せてしまったような気分です。

審判の誤審疑惑があった試合後に、負けた側が「相手に負けた気はしないけど、審判に負けた」のようなコメントを出すことがありますが、まさにそんな感じです。今回の私が書いた「判決には納得できても、その理由は納得できない」という件ととても類似しているように思います。

今回はアマゾンについての知識がない裁判官の管轄となってしまった以上、負けても仕方ないと思いますが、アマゾンの仕組みをしっかり認識している(もしくは認識しようと努力してくれる)裁判官ならどういう判断をするんだろうと思います。